浮 上 以 前 4

雑然とした生活物品に加えて、
仕事関係のテキストやレジュメ、資料や書類が整理もされないまま
ダイニングテーブルの私の正面にうずたかく積み上がって、
食事のたびに、テキストの背表紙が目に入る。鬱陶しい。

必要な書類とそうでないモノが判断出来ない。
使うべき資料も必要以上に作成されている。
同じテキストが3冊。どこかに書き込んだあの一言が大切だったはずだから、
片付けるわけにはいかないんだという思い込み。

無くしたらどうしようという謂われのない不安。
いつもいつも、空っぽの自分が次回の仕事をこなせるのだろうかと
それらの資料を眺めながら泣きたくなるのだった。

以前にも増して、準備にはいるのが遅くなった。
やっておけば、いくらかは気が楽になるはずなんだから、
とっととやってしまった方が良いぞ。と、なけなしの理性が真っ当なことを囁く。

けれど、ま、いいか。どうせ上手く行かないし、覚えてもいられないし・・・
と、うだうだと寝っ転がって過ごしては、
前日に追いつめられて準備を始め、睡眠時間2~3時間で
仕事に行くのだった。

硬い表情、悪い滑舌、游ぐ視線。
板書の文字は、開始直後はかならず震えた。

それでもナンとかやり過ごして、その日の昼食や夕食は
完全な手抜きで済ませ、その日の晩だけは、
いくらか安らいで眠りにつくことが出来るのだった。

心底、仕事を辞めたかった。
能力もないまま、続けていくことの後ろめたさと、
もともと、人前で話すなんてことは考えるだけでも
脚が震える人間なのだ。

ちょうど、来期からカリキュラムが変わり担当課目の変更が打診された。
新しいことなど、とても取り組めるとは思えなかった。

その少し前、安倍総理が突然辞任し、
その無責任さに対する非難は紙面の隅々に渡っていたが、
新聞紙上を賑わす批判の記事は、
そのまま仕事を投げ出した私に向けられたものに思えた。

今にして思えば、バカバカしい思い込みに違いないのだが、
どうしても、そうとしか思えないのだった。
被害的になっていたのだと思う。ま、妄想ってやつさね。

なので、自分の状態を考えると来期の仕事を受けるのは
まったく不可能に思えた。

先達にちょこっとだけ話してみた。
自信が持てないこと。
とてもやり遂げられないと思うこと。
新たな知識や知見をインプットする力がもう無いこと。

けれど・・・
先達の私への過大評価は、それを笑い飛ばし、
結局、うやむやのウチに続投することが決まっていった。

被害的な妄想に加えて、
私をとらえて放さない妄想がもう一つあったからだ。

貧困妄想。
その話は、この次に。

暗いねぇ~。怖いねぇ~。うふふふふふ。
んでも、今だから話せるやつってことで。
しかも、笑いながらね。くすくすくす。




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by urankkkao-ji | 2008-10-07 08:03 | 病気の話  

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