浮 上 以 前 3

家を建てる時、多くの人はモデルハウスを何軒も見て回り、
憧れや希望や期待感で一杯になるのではないでしょうか。

知り合いの新築の家を訪れては、これから自分が住む未来の家を夢想し、
自分ならキッチンはこうしたい、レンジはもちろんビルトイン!
今なら、食洗機もはずせないんだろうな。

浴室は広々としていて、清潔な感じ。
できれば、オサレな小窓があったりして・・・

リビングはゆったり感の漂うカウチや重厚なカップボード。
お気に入りの額をかけられるように壁はもちろん白だな。
所々にツヤツヤのグリーンを配して・・・
足元は、フカフカの敷きつめ絨毯。
ダイニングまでずーっと統一感を持たせてね。

寝室は落ち着いた色調でまとめたい。
もちろんクローゼットは各部屋につくりつけ。
余裕があればウォークインがさらに良いなぁ。

そうそう、和室は8畳はなくちゃ。床の間の床柱は黒檀で。
早くに亡くなった母の仏壇があるから、仏間として使いたいものね。
桐の箪笥は、畳じゃなくて板敷きのところにおきたいな。
和室は、8畳プラスαってところか。上等の座卓も用意しなくちゃ。

トイレは、2階にも作っておこうよ。きっと使い勝手がいいよ。
階段の手すりや滑り止めにも気を遣ってさ。

本だらけのうちらには、書斎もなくちゃ。
そいで、天井までの作りつけの本棚を大工さんにオプション依頼さ。
ふふっ。あ、書斎には換気の装置がなくちゃ。煙草の煙で汚れちゃうからね。

寒がりの私にはセントラルヒーティングははずせない。
冬は暖房をつけっぱなしにして置いて、家中どこもかしこもあったかにしておくんだい!
快・適・生・活さ!

などなど夢想しつつ、実際に建てていくわけだけれど。
ご経験のある方は、家を建てることが如何に大変かご承知のことと思います。
何から何まで決めていくことが多すぎて、ワタシ的にはいささかウンザリ状態でしたな。

間取りやクローゼット、押し入れやモノ入れ、床材や壁紙、
窓の位置や大きさ。はては、カーテンレールの高さやコンセントの設置箇所。
鍵の個数や形態等々、等々、等々、等々、等々。

とにかく決めなくちゃならないことが多すぎて、高揚感も尽き果てる頃にやっと
打合せが終了するのでした。

それでも、やっと自分たちの家が完成すればやはり嬉しい。
思い通りに出来なかったこともあったけれど、
まずまず満足出来る大好きな居場所となりました。

それから、二十数年・・・・・
夢のモデルハウス状態(ウソだけど。ま、新築特有のさっぱり加減)から、
ゴミ屋敷へと我が家は少しずつ変貌を遂げていったのでした。

なぜか?
一つにはものが捨てられないタイプが揃っちまったこと。
捨てられないくせに、モノを増やすことに余念のない人間(すなわち私と先達)がいること。

さらに、整理整頓を旨とし、この上なく几帳面な性格で、
家中に目を光らせ、時折やんわりと片づけを指摘する
私の同居していた父が亡くなったこと。

そして、超忙しの仕事が続いた(07:30出勤の22:30帰宅、
見たこともない書類の作成や訪問面接の嵐、
しかも助言者も指導者もナシ!)ために、家事は完全に後回し。
漢子やカレも半ばネグレクト状態。いやぁ、家の中の荒れること荒れること。

とどめがそのまま突入した私の抑うつ状態(もう5年も前の話だな)。

んがっ、Dr.にもかかり、薬もきちんと飲み続けて
なーンもできない日々から、やっとこさ脱出を図り、
新たな仕事も増えて充実してきたところだったのに・・・・
この度の撃沈・・・・

使ったものは元に戻すことが当然と躾けられていた分、
掃除や整理整頓はまぁまぁ出来る人間だったはずなのです。

ところが・・・・
忙しさに取り紛れて荒れた状態のまま、更に加速度的に散らかっていく我が家。
乱雑に積み上げられたコミックや本(今にも雪崩落ちそう)・・・
新聞入れに積み重なっていく新聞。
開封されないままの封書。
通り一遍の掃除しかできないので、よく見るとそこらじゅうホコリだらけ。
家の隅には至るところにクモの巣状のほこり。
もちろん、ホンモノのクモさんも階段の隅などにいらっしゃって、せっせと巣を作っている。

カレの食べこぼしやシートからはずれたオシッコ跡。
カレ以外の人々の食べこぼし跡。

雑巾持って拭きまくっていた私はどこにもいない。
平気なのだ。あ、こぼしてる・・・ってなものだ。シッコですのにねぇ。


買い物に出かけても、品物をすぐに片づけられない。
米やみそなどはダイニングの床に転がったままだ。
お醤油や調味料、油の類は勿論、玉ねぎジャガイモ、カボチャがごろごろと・・・
生鮮食品こそ、冷蔵庫に押し込むが、
卵をパックから出してたまごポケットに入れる事さえ億劫なのだった。

とにかく、収納すべきところにものが収納出来ない。
ベッドもぐちゃぐちゃ、服は乱雑に積み上げられたり壁のあちこちに針金ハンガーで
ひっかけられたまま放置された。
あらゆる部屋が物置状態。うううううっと思う気力さえ、抜け落ちていた。


(なんとしたことか。まだ続くのだよ~)






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by urankkkao-ji | 2008-10-06 07:05 | 病気の話  

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