バスのなかのマッダーム

地下鉄駅からバスに乗って帰ってくるムスメ。
この頃ムスメ会話で登場回数激増中の夫人がいらっしゃる。
マッダームごうばと命名。クルエラに似たその方、年の頃は60ちょい過ぎ。

まず、誰もが二度見せずには居られない出で立ち。ふぁっしょなぶる?なのか。
ベリーショートの金髪とばっさばさの付け睫毛に、まずやられるらしい。
口を開けたまま、そこから視線をずーっと下げていくとこれまたなかなかに凄まじい色目の装いに再び視線をもどさずには居られないのだという。

いくつになってもお洒落に気を遣うのは大切なこと。
きんぱであろうが、付け睫毛であろうが口紅が残像残すくらいの濃さであろうが、まことに結構なこと。つけ爪に所狭しと並んでいる指輪、9センチのピンヒールも、よろしかろうかと。
お目にかかっていないワタシ。ムスメの話にふんふん頷くのみ。
以下車中の様子、ムスメ談。

まわりの視線を気にするでもなく、マッダームごうばは友人とのおしゃべりに余念がない。
バスの中に響き渡るマッダームの声。

マッダーム  「この間ね、泥棒に入られたのよ」
友人      「アッラー、たいへんだったね。あの衣裳部屋に?20畳の」

途端に静まりかえる車中。衣裳部屋・・・衣裳部屋があるんだ、しかも20畳。

マッダーム  「そうなの。しかも、宝石。宝石箱からごっそり」
友人      「んまぁ。たくさん持ってるモンね、あなた」
マッダーム  「でもね。鍵穴は壊されてないのよ。だから、身内の誰かだと思うの」
友人      「そ、そう」

車中の方々(もちろんムスメも)耳ダンボ。どろどろやな。身内って。

マッダーム  「大体見当はついてるの。嫌になるわね」
友人      「そ、そう」

頷くのみの友人。
何ともレスのしようがない話題。なんとか、別の話題に持っていこうともがく友人。

友人      「あの、おしゃれな車はどうしたの?」

そうとも。どうしてJRほっかいどうのバスに乗ってお出かけなのか。衣裳部屋。

マッダーム  「ああ、あれね、売っぱらったの。ジブンで運転するより
          バスの方が楽だから。」
友人      「そ、そうなの」
マッダーム  「次々買い物するから、あの衣裳部屋も手狭になってきて。ありすぎるのも
          困るモンだね」
友人      「そうだねええぇ」
マッダーム  「あなたも、も少しキレイな色の服着た方が若返るわよ」
友人      「そうだねええぇ」
マッダーム  「あ、それじゃぁ、またね」

とカッツカッツヒール音響かせて降り口へ向かうマッダームごうば。
その後ろ姿に集中する人々の視線。
ナットクいかないわぁ。何で、バス。という無言の思いが充満中。

んで?
バスのなかのマッダーム_c0117239_1512218.jpg















メモ用紙の裏にスケッチまで。
ふーん。
そっくりに描けたって?
そ、そう。
いろんなヒトがいらっさるのだね。ここいらにも。

by urankkkao-ji | 2007-06-23 01:46  

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